ロシア上空到着したのは夜です。長時間飛行機に乗った後は ゆっくりとホテルで寝るというプランが、平均年齢の高い私達にはぴったりでした。案の定、プラット空港の入国カウンターでは 不機嫌そうなお姉さんがこちらも見ずにハンコをバン!5名揃ったところでカウンターを振り返ると、もう電気が消されて誰もいませんでした・・・。

空港からはタクシーで。もちろん、ちゃんとメーターをスタートさせたか確認です。 インターネットで予約しておいたホテル・マジェスティックは、グラシア通りのほぼ中央にあり、ガウディ建築で有名なカサ・ミラやカサ・バトリョへも 歩いて2、3分ぐらいです。地下鉄パセジ・ダ・グラシア駅も近く、中心街のランブラス通りへも15分から20分で楽しく歩いて行ける場所にあります。
「スペインに行ったらやっぱりフラメンコでしょう」というリクエストを受けて場所を検討、でも本当はちょっと違います。 スペイン人誰もがフラメンコが大好きでどこでも盛ん、というのは日本人の思い込みです。 特にバルセロナは「カタルーニャ人」として意識が強い地区で、フラメンコを見たことのないバルセロナっこもいるはず。 (バルセロナはサルダナかな?)でも私も見られるものならと考えた結果、散策予定地のモンジュイックにあるスペイン村に 「エル・タブラオ・デ・カルメン」(タブラオ=フラメンコを見ながら食事やお酒が飲めるお店)という所があるので、 ホテルに予約をお願いしておきました。

4日間(金曜〜月曜)をどう使うか。まずは行きたいコースを4通り作り、曜日とお天気で割り振りをしました。 どうしてもロープウエイに乗ってモンジュイックに行きたかったので、これは晴れている日じゃないと行けません。 雨の日や風の強い日は運転しないからです。美術館のほとんどは月曜が休みですし、日曜の午後は開いてない所もあります。 などを考えて、晴れた初日を「ロープウエイの日」にしたのですが、これが予想以上に過酷な一日になりました。

1日目

グラシア通り→ランブラス通り・サンジュセップ市場→ポルトベイ・水族館
→ロープウエイでモンジュイックの丘→ミロ美術館→スペイン村でフラメンコ鑑賞

グラシア通りホテルの朝食は異常に高いし、街中で軽くつまめるものの方が楽しいと思って5名揃って出発しました。鞄は持たないか、 上着の下に隠せる程度の小さい物だけにしました。お金は2,3カ所に分けて持っておきます。初日は気温がまだ掴めていなかったので、 Tシャツに長袖シャツ、ジャンパーという服装にしておきました。お天気も良さそうなので、これならロープウエイに乗れそうです。
グラシア通り(写真)を歩き始めてすぐ、ガウディ建築のカサ・バトリョが見えました。生き物の顔のような形のテラスと色ガラスを貼った壁の建物が 街にアクセントを加えていて、あぁバルセロナだなぁ、と感じさせてくれます。ロエベショップもありましたけれど今はショーウインドウを横目に南下します。 カタルーニャ広場にあるインフォメーションに寄ってみましたが、特に必要と思われる物がなかったのでいつくかのパンフレットを記念に取りました。

ランブラス通りからは真ん中が散歩道になっていて、お花屋さん、鳥屋さん、大道芸人などで賑わっています。 両脇にはお土産物屋さんも並んでいて、見ているだけで楽しい場所です。でもやはり人が集まってくる場所はスリが多いのも 事実のようです。実際、後ろをピタリとくっついて歩かれたりもしましたが、立ち止まって避けたり、振り返りつつ旦那に話しかける等するといなくなりました。
サン・ジュセップ市場この通りにはお目当てのサン・ジュセップ市場があります。ドーム型の天井の下を、 写真のようにハム屋さんやカラフルな果物や野菜が彩っているお店が見えます。 ここまでウロウロするばかりで、何も食べずに来てしまっていたのでお腹はぺこぺこです。「中で何か食べられるかなあ」と話しながらずんずん 奥に進んでいくと、何件かカウンター式のお店が並んでいました。でもお客さんはいなくて、どうも身内同士でわいわいやっているようで・・・。 最初は「入りにくいねえ」と遠巻きにしていましたが、お腹は空いているし、少し疲れて座りたいし、ケースからのぞくトルティージャ (スペイン風オムレツ)はとっても美味しそう!「いいよね?座ろうよ!いいじゃん!!」とカウンターに5人がずらりと座ることになりました。 お店のおじさんがにこやかに迎えてくれたのでホッとしましたね。さて。「(母)ね、コーヒー下さいってなんていうんだっけ?」・・・覚えてよ〜! 4人とも、ここでのスペイン最初の会話が楽しく、通じて嬉しかったようです。市場を出る所でチェリーを買って、みんなで歩きながら食べることに。これは大正解でした!

ヨットハーバーホテルを出てから約2キロは歩いたでしょう、コロンブスの塔が見えるとそこはもう海です。空は快晴になり、11月だというのに暑くて 喉が渇くほどでした。もう少し歩いてポルト・ベイに渡り、トイレ休憩&ベンチで一休み。この時レジャーセンターのマレマグナムは、 時間的なこともあったのか寂しげな雰囲気でした。ポルト・ベイの中で楽しみにしていたのは水族館!ある旅行ガイドに「ヨーロッパ最大規模」 とあったのでワクワクして向かったのですが、入り口からしてどうもしんみりした雰囲気・・・。入ってみての感想は「日本の水族館って贅沢なのね」でした。
さて、海上を見上げるとお天気もよく、ロープウエイが動いているのが見えます。張り切って乗り場まで行こうとするのですが、ハーバーを ぐるりと回らないと乗り場には行けません。太陽が容赦なく照りつけ、ジャンパーの前を合わせていられないほどです。汗っかきの旦那は売店を求めて 早足です。女性陣も頑張って、コーラを買っている旦那を追い抜かして「もうちょっとよ、もうちょっと」と言いながら歩いている時。 ふと距離があいてしまった旦那が気になって振り返った私達の目に驚きの光景が映ったのです・・・! 旦那の横に、子供が2人います。え?何やってるの?と思った途端。その子供の一人が、旦那が脱いで手に持っていたジャンバーを引っ張って行こうとしてる! 身長187センチ体重93キロの旦那が引っ張り返すと子供がブーンと宙に舞いました・・・(警察犬が犯人に飛びかかって、クチを離さずに 振り回されているシーンを想像して下さい)。「何やってるの!」私が叫びながら走り寄ると、その子供たちは走って逃げて行きました。 背格好はどう見ても小学校高学年か中学生、そして100メートルぐらい離れた先に、もう少し背の高い仲間であろう子供が待っていました。 旦那は「暑いからジャンパーを脱いで左手に持って、右手でコーラを飲もうとした途端に何か話しかけられたなと思ったら引っ張られたんだよ」と 落ち着いて話してくれたものの、やはりかなりショックだったようで、汗だくなのに二度とジャンパーを脱ごうとはしません。女性陣も「まだ子供なのに・・・」 としばらく無言。大きい旦那だったから取られなかったものの、女性陣の誰かだったら対抗出来たかどうかわかりません。「良かったね、取られなかったんだし。 これからはみんなが気をつけて歩こうね。」それからの3日間は街を歩く時は早足、たまに後ろを振り返ったり、慣れない3人が前で 私と旦那が後ろを歩く等、全員が良い緊張感を持って行動することが出来ました。

ロープウエイよりシーズンオフの閑散としたバルセロネータのはずれを歩いて行くと、ポツンとロープウエイの切符売り場と乗り場へのエレベーターがありました。 往復の切符もありますが、私達は片道(確か8ユーロ前後)の切符を買いました。「乗り場までこの古いエレベーターで上がるの?」いかにも頼りない感じがスペインちっくです。 でも上ると本当に良い眺めで気持ちがいい!しばらく待っているとロープウエイがやってきました。満員で乗り込んだ私達の遠くに、サグラダファミリアが見えたのがとても嬉しかったです! 中間に1つある駅では降りず、そのままモンジュイックの丘まで乗りました。降りてからは楽しく歩いて散策・・・と思っていたのですがこれが誤算。 モンジュイック第一の目的地、ミロの美術館が歩けども歩けども見えてきません。こんなに遠いんだっけ?今まで暑い中を歩いていたせいもあり、 疲れてきているのにバスもタクシーもお店も見あたらないけれど、もう仕方がありません。「美術館でお茶ね」を合い言葉に歩きました。

モンジュイックミロ美術館の白い建物が見えてきました。館内はフラッシュをたかなければ撮影が可能で、中庭やテラスの美しい、ゆったりとした時間の流れる場所でした。 念願のお茶をしながら今後の予定を確認、時間などの都合から考古学博物館などの施設には寄らず、そのままスペイン村を目指すことにしました。 またしばらく歩き続けなければなりません。
段々と日が落ちて暗くなって来ました。昼間の暑さはどこかへ行ってしまい、歩いていなければ肌寒いぐらいです。施設は点在しているので、 何もないうっそうとした茂みの横を通る時には不安にもなりましたが、途中で美しくライトアップされたカタルーニャ美術館に目を奪われたり、 眼下のマジカ噴水を見ながら歩き続けたのでした。

暗い道を少し迷いながら、スペイン村に着いたのは午後7時過ぎだったでしょうか。予約をしてあるエル・タブラオ・デ・カルメンの開店まで時間がありますが、 入場料込みなので早めに入って時間を潰せばいいと思っていたのです。それが「まだ入っちゃダメ」と入場を断られてしまったのです。 私達が入場出来る時間まで1時間はあったでしょう、でも街に戻る気力もなく、道沿いのベンチに座って今日のこと、明日からのことなどを話して過ごしました。 ようやく入れたスペイン村は、スペイン各地の家屋や路地をほぼ実物大で再現したテーマパークで、お土産屋さんもあるようですがさすがにシーズンオフの この時間帯は閉まっていました。その上、ゆっくり見れば1時間はかかるのかなと思いきや、30分もかからずに見学終了・・・。街を2周したあたりで 今日の最終目的地、エル・タブラオ・デ・カルメンがオープンしました。
エル・タブタオ・デ・カルメン多分目の肥えた人は見に来ない店かも知れません。でも私達は雰囲気を楽しみたかった素人なのでそれで良いかなと思ったのです。 私達は食事付きで予約をしてありましたが、別のテーブルでは飲み物だけを注文をしているグループも多かったようです。 かなり広めの店内もショーが始まる頃にはほぼ満席、やはり外国からのお客様が多いように感じました。某ガイド本には 「観光客がステージに上げられて笑いのネタにされる」とありましたが、そんなこともなく熱のこもったステージでした。 ダンサーは、写真のの女性を除いてはモダンやクラシックの基礎がありそうな若手が中心で、男女6名による約2時間のショーでした。 帰りには出口でギタリストのCD発売もしており、お見送りまでしてくれました。

店にはあんなに沢山の人がいたのに、スペイン村の外にはタクシーも待っていません。その人達も車で来ていたのかあっという間にいなくなり、 私達はまた仕方なく真夜中の丘を歩いて下り、バルセロナ見本市会場横の大きな通りでやっとタクシーを拾ってホテルに戻りました。 初日からウロウロし過ぎましたね。みんな、お疲れ様でした。ゆっくり寝ることにしましょう・・・。